JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

SSBジェネレータの実験 その4

更にしつこくSSB変調回路の設計と製作実験の続きです。ギルバードセル二重平衡変復調ICによる平衡変調回路は、入力レベルを適切に選ばないとスプリアスを発生しやすいという欠点はあるものの、キャリア、AF信号のレベルが小さくても動いてくれるので全体の回路の規模が非常にシンプルになりFBです。ところが、入手しやすいDBM用ICはそれほど多くないので困りモノです。今回は、定番中の定番ICであるMC1496と、入手しやすいNJM2594について実験してみました。
MC1496は古くからあるモトローラ製のアナログ乗算器ですが80MHzくらいまで平気に動作するので、SSBジェネレータにはうってつけの素子で昔から無線機等に使われているようです。入手性はかなり良好。DIP品、SOP品とも〜300円で売られています。ゲインも十分あるのでポストアンプの必要もなく、キャリア抑圧が50〜65dBと割と高くFBです。両電源のアナログ乗算器として設計されているので、単電源でDBMとして使うためには付加部品を多数必要になり、コレが唯一の欠点です。
NJM2594は現行品種なので入手性がよく値段も手ごろ。単電源DBMとして設計されているので部品点数が少なくてすみます。数百MHzくらいまで楽に動くようで。しかし、現行品種ゆえに表面実装チップ品しかありません。

実験回路は、前回と同じ、ECMを入力とし20dB増幅、キャリア発振はPN2222によるコルピッツ→J310ソース接地同調増幅(場合により後段にPN2222のエミッタフォロワのバッファ)とします。DBMで両者を乗算してDSBを得た後、クリスタルラダーフィルタによるハイパスフィルタを通過させて、USBを取り出します。キャリアポイントを合わせこむには少々コツがあります。下記写真の上がNJM2594の回路(クリスタルフィルタの段まで作りました)。下がMC1496の回路です。

差動段のバイパス端子にはAF信号とキャリア信号の両者ともにインピーダンスが十分に小さくなるようにコンデンサをパラにするのがキャリア抑圧を良好にするコツのようで、NJM2594で約35dB、MC1496で約40dBと結構良好になりました。またIMD特性は詳しく調べていませんが、MC1496のほうがスプリアスが生じにくく、部品点数が多くて作るのに難儀しますが、さすがに長年実績のある石。性能が良く使いやすい。

インピーダンスマッチングのためにミキサの前後に3dB〜10dBのATTを付けたりしましたが、特性はほとんど変化せず。パスコンの並列実装が一番大事だと思いました。なお、今回の実験回路の回路図は次回アップします(毎回アドリブで作っているので回路図は後から書くものになっています)。

さて次回あたりから受信回路に進みたいと思います。IF段のAGCアンプを(1)古典的にフォワードAGCトランジスタ、(2)デプリーションJFET、(3)各種AGC IFアンプICで実験したいと思います。