JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

FT-817からIFを取り出しSDRで復調

受信機の中間周波数(以下IF)を取り出し、別の受信機で復調させることで、もとの受信機にはないフィルター特性や様々なモードで復調できることがあります。中間周波数が比較的低い周波数ならば、PCのサウンドボードに入力してPC上で復調することも可能となりました。一昔前に流行ったDRM放送の復調もその一つでしょう。
子の受信機にSDRを用いると、活用範囲はさらに広がり、フィルタを通す前の広い帯域のまま信号を扱って、ウォーターフォール表示させたり、録音したり、CWやRTTYを一括で復号するすることが可能となります。
今回はFT-817からIFを外部へ取り出して、その信号をSDRで復調させることをやってみました。目的はズバリ、SDR単独ではできなかったV/UHF帯でCW Skimmerを動かすことです。

まず、FT-817からIFを取り出すことについてですが、ここのページを参考にしました。68MHzのクリスタルフィルタの手前でタップを取る方法で、信号強度も申し分なく、工作もやりやすいでしょう。とは言っても、かなり細かい作業なので慎重に。
リグの外へ取り出すためにはSMA型レセプタクルをリグの背面に取り付けました。ここの部分はアルミシャーシの厚さが異様に厚いので工作に難儀しました。レセプタクルのネジの呼び長さに余裕のあるものにしましょう(苦笑)。


FT-817/857/897のIFは68.33MHzであるため、手持ちのSDRのQS1RPerseusでは受信できません。そこでHF帯へのダウンコンバートを作ってみました。手元にちょうど40MHzの京セラ製クリスタルオシレーターがあったので、これでミキシングすると28.33MHzとハムバンドに入る周波数になり大変具合がいい。ザクっと作ってみました。

40MHzのオシレーターはロジック回路のクロック用なので下図のようにハーモニック成分がたんまりなので、一段だけBPFを入れておきました。ほとんど気休めです。また出力が+18dBmとかなり大きいので10dBのパッドを入れてあります(一般にDBMに必要以上に大きな信号を入れると歪みます)。

TDKのDBMでミキシングし、変換ロスした分を補うために2SK241によるアンプを入れて同調負荷としました。ソースとアースの間にVRを入れてゲインを調整するようにしました。FCZコイルのコアを調整すると40MHzのLoと加算側(108.33MHz)を-16dBくらい抑圧させることができ(下図)ました。FT-817のアンテナ端子に入れるレベルとコンバーターの出力レベルが合うようにゲイン調整して完成としました。

FT-817のIF-Outとコンバーターを接続し、Perseusにワッチさせると28.33MHz付近で受信することができます。FT-817で選択しているバンドのフロントエンドのBPFの範囲内であればPerseusで復調させることができます。オフセットの計算がややこしいのですが、これは仕方ありません(汗)。
CW Skimmerによる復調も当然ながら可能で、430MHzでダミーロード送信したCWの信号を68.33MHzのIF経由で28.33MHzへ変換されて問題なく解読されました。

これで今まではできなかったV/UHF帯Skimmingも可能となりました。特に、衛星通信で信号を見失ったときに便利そうです。なおFT-817は当然のこと、コンバーターとPerseusも軽量小型なので移動先でも手軽に使えますね。