JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

RFパワートランジスタの入手性と値段を調べた

アイボールやラグチューQSOで電子工作談義に花を咲かせていると必ず話題になるのが『昔はたくさんあったけど今は手に入りにくくなった』です(笑)。おそらくトップ5が、真空管、エアーバリコン、インダクタ(IFTやエアーダックスコイル)、高圧トランス、そして、高周波パワートランジスタでしょうか。前者4つは、真空管時代の古いデバイスですから、入手できなくなるのは仕方ない。昔を懐かしく思って再び集めている人も少なくないでしょう。高周波パワートランジスタは今も当然あるのですが、アマチュアにとって使いやすくて入手しやすい石が少なくなったと言うことです。その条件は、おそらく、(1)TO-220などの基板挿入タイプのパッケージ、(2)Po=1〜20Wの手頃な出力、(3)秋葉原などのアマチュア向けのお店で売っている、(4)安価、だと思われます。最近になって、これらの条件にあう石が、高周波パワトラに限らず、半導体一般で少なくなってきたと言われています。電子機器の軽薄小型が進んで、あらゆる電子部品は表面実装型パッケージになり、リード型の部品の多くが廃品種になっています。自作マニア人口が減って、需要と供給(アキバの部品屋の規模)のバランスが今と昔では違ってきているというのが本質のような気がしますが。

とは言ってもネット通販が盛んになりロジスティクスも進化したせいか、半導体ディーラーが直接個人相手に部品を売ってくれるようになったり(大量に買わないと損するけど)、海外の通販も利用すると、古い部品でない限り、割と何でも手に入ったりします。


今回、50MHzの終段のための石(MOS FET)を探すためにも、タイトルにあるように、現在手に入るRFパワートランジスタについて調査してみました。まずは現行品ですが下記リンクの通りです。少し古い品種も流通していると思います。リンクを見るとわかりますが、無線LANや携帯電話などの移動体無線関連の半導体が多いです。従って、表面実装パッケージでGHz帯の石が多かったりします。ですから、VHF帯で数〜数十Wの石というと中途半端です(確かトロ活でもそう書いてあったと思う)。

現行品種で上限周波数がVHF帯で(UHFを入れると膨大になるので)、なおかつ当局が知っているお店や通販などで入手可能なものをリストアップすると(値段はあくまで参考です)、

品番 メーカー Po 値段
RD06HVF1 三菱 6W \380
RD15HVF1 三菱 15W \450
RD30HVF1 三菱 30W \2300
RD70HVF1 三菱 70W \3000
NTE473 freescale 2.5W \912
NTE357 freescale 7W \13162
NTE359 freescale 20W \5334
NTE360 freescale 40W \9376
MRF1511NT1 freescale 8W \820
MRF1550N freescale 50W \2294
MRF6V2010NR1 freescale 10W \2480
MRF6V2150N freescale \3312
SD1274 STmicro 30W \4420
SD1275 STmicro 40W \4420
SD1477 STmicro 100W \5167
SD2931 STmicro 150W \7167
SD2932 STmicro 300W \17171
SD2942 STmicro 350W \18143

となり、VHF帯用の石でリーズナブルでジャストサイズなものは三菱以外に見当たらないようです。なお、ARRLアマハンの第7章のTable 7.31 "RF Power Transistors"やTable 7.32 "RF Power Transistors Recommended for New Designs"に紹介されている石も含まれています。参考になさってください。
一方、少し古いものとなると、色々とあるようですが、やはり貴重品種になってしまい千円台と高価ですが、MOS FETならば結構安いものもあるようです。


他にもまだ入手容易なRFパワトラがありそうなので(UHF帯ならば膨大にあります)、気が付いたら上記表を更新しておきます。