QSO統計分析
今年のQSOパーティで開局から7万QSO突破することができました。QSOの9割近くが国内QSOでHFだけでなくV/UHFも割と満遍なくやることで、また当局のQSOスタイルがオールバンドのコンテスト中心であるため、交信しやすいエリアとバンドの関係や各エリアの人口との関係を把握することができました。つまり、1エリアからだとV/UHFバンドは1エリアとつながりやすいのはバンドの伝播性質と人口の多さのためですが、比較的日本全国をカバーする短波のローバンドだとQSO数はほぼ人口に比例します。これは1エリアが比較的日本の中心に位置するためです。しかしなんとなく4エリアとの相性がいいかなと6エリアは人口の割には少ない、などのぼんやりとした印象があったので、その印象が確かなものかどうか定量的な統計分析をしてみました。多変量解析をやってみるのも面白そうですが、ここでは単なる人口比とQSO比の比較をしてみました。
まず、最新の国勢調査の結果を基に各エリアの人口と全体に対する人口比をまとめてみると、
エリア | 人口 | 人口% | |
---|---|---|---|
JA1 | 43,467,160 | 33.9% | |
JA2 | 15,111,223 | 11.8% | |
JA3 | 20,903,173 | 16.3% | |
JA4 | 7,563,428 | 5.9% | |
JA5 | 3,977,282 | 3.1% | |
JA6 | 14,596,783 | 11.4% | |
JA7 | 9,335,636 | 7.3% | |
JA8 | 5,506,419 | 4.3% | |
JA9 | 3,069,349 | 2.4% | |
JA0 | 4,526,899 | 3.5% | |
合計 | 128,057,352 |
となり、やはり1エリアが全体の1/3を占めていることがわかります。6エリア(沖縄県が含まれています)が健闘していて(^^;コールサインが再割り当て中のことだけあります。過疎が進む5エリアともともと人口が少ない3県が集まった9エリアは全体の3%程度しかありません。格差はJA1の10倍以上なんですよね。
さて、これまでの各エリアのQSO数の全体に対する比率と上記人口比率を比較してみました。
エリア | 全QSO% | 80-30m QSO% | 20-10m QSO% | 人口% |
---|---|---|---|---|
JA1 | 50.0% | 35.1% | 31.6% | 35.1% |
JA2 | 11.1% | 14.0% | 7.7% | 11.8% |
JA3 | 12.4% | 16.7% | 13.1% | 16.3% |
JA4 | 5.9% | 7.7% | 10.1% | 5.9% |
JA5 | 2.7% | 3.6% | 5.1% | 3.1% |
JA6 | 4.6% | 5.3% | 15.2% | 11.4% |
JA7 | 5.4% | 7.6% | 3.9% | 7.3% |
JA8 | 3.1% | 3.1% | 11.0% | 4.3% |
JA9 | 1.7% | 2.4% | 1.2% | 2.4% |
JA0 | 3.1% | 4.5% | 1.0% | 3.5% |
全バンドひっくるめたQSO比を第2カラムに示しました。なんと1エリアのQSO数が全体の半分に達していることが分かりました。これは1エリア同士がV/UHFでつながりやすいことの結果で、逆に言えば1エリアの局はV/UHFさえあればそこそこ楽しめる、ということを意味していると思います。他のエリアはまぁ大体人口比率(第5カラム)に似た数値になっているので実感と一致していますね。6エリアはやはり人口比に比較しQSO比が少ないので、1エリアから見ると「無線家の割合が低い」と感じるのではないでしょうか(そう言えば最後の未交信JCCは熊本県阿蘇市でした)。
1エリアにおけるV/UHFの特殊性を除去するために、当局がよく運用する3.5, 7, 10MHzを合わせたQSO数で統計を取ってみたのが第3カラムです。HFローバンドの伝播の特性とそのエリアのアクテビティが組み合った「つながりやすさ」が見えてきたと思います。1, 2, 3エリアはほぼ人口比と一致(2エリアが人口比よりも若干多目なのは当局が神奈川県であるため)し、4エリアとの相性がよい、6と8エリアは伝播の性質上「遠い」と感じるエリアを意味しています。裏を返せば4エリアの方は、1エリアと人口比以上に良くつながると感じられているのではないでしょうか。そして、コンテストをやっていても、マルチが取れない県が残りやすいのが6エリアなのです。またこれらのバンドで運用すると、40〜50QSOほどでAJDが完成する計算になります(笑)。
一方21MHz以上のハイバンド(第4カラム)においてはV/UHF同様に地表波が効いてくるので依然として1エリアとのQSOが多いです。しかし当局はゲインの低いワイヤーやホイップアンテナを使っていることもあり、中距離へのスキャッタ交信が不利になる一方、ローゲインのアンテナでも夏場のEsやF層反射で強く入感する6, 8エリアとの交信比率が多くなっているのも割りに簡単に説明がつきます。ハイバンドのQSO比率は運用エリアはもちろんのこと運用スタイルや使用しているアンテナによって大きく変わるのではないでしょうか。
各エリアごとの免許人数や局数との比較をやってみるとさらに面白いかもしれませんね(時間があったらやってみます)。また、このような統計をどなたか分析して公開して頂けませんか。とくに6、8エリアの方や全国を移動して運用されるかたの分析に興味があります。