本読みの憂鬱
発売開始2週間弱で、100万部以上を売り上げているという村上春樹の『1Q84』(まだ入手しておりません)。なぜ村上春樹がこんなに売れているのか、大いに疑問です。おそらくマーケティング手法が功を奏したのでしょう。マスコミも騒いでいるし。確かに、村上春樹は日本を代表する現代文芸作家で、おそらくノーベル文学賞を受賞するほどのスゴイ作家です(海外でも人気作家、作家の活躍もすごいと思うのですが、アメリカ文学の翻訳の仕事も旺盛で、こちらのイメージも割と強い)。しかし、村上春樹の最近の小説を少しでも読んだことがある人ならばわかると思うが、ものすごく変な文章を書く作家で、慣れていないと何が書かれているのか、わからないと思う。つまり、少し玄人向けというか、マニア向けの小説なので、ごく一部には絶大な人気がある、ということならばわかるのだが。本を買った100万人のうち、おそらく、50万人には理解不能で、最初の5ページで読むのを断念しているような気がします。東野圭吾やハリーポッターがよく売れるのとは何かが違うのです。
『ねじまき鳥』もそうですが、村上春樹の長編小説は、背景にモダン/ポストモダン的構図がイメージできていると、割と分かりやすくて、とても面白いのですが、そうでないととても読めたものではない、と思う。当局は文学マニヤというほどではないのが、ポストモダン的、形而上学的小説が大好きで、ポール・オースターをはじめダイベックからジョナサン・キャロルまで読んでいます(笑)。
当局はノンフィクション風の小説も好みます。特に吉村昭と山崎豊子がすごいと思う。この二人はもっと評価されても良いと思います(少なくとも村上春樹よりは売れても良いハズ)。最近、山崎豊子が『運命の人』という長編小説を発表しました(まだ読んでいません)。例の沖縄返還の密約事件を取り扱っているというのだから、ものすごく楽しみです。
山崎豊子の長編小説は全て読んでいます。何度もテレビドラマ化されている『白い巨塔』よりも、『真空地帯』(これもテレビドラマ化されるらしい)や『沈まぬ太陽』が大好きです。『二つの祖国』はNHKの大河ドラマにもなりましたが、小説の方が圧倒的に面白いです。『大地の子』も良い。まぁどの小説も圧倒的な筆力で、読書の楽しさを教えてくれますね。あぁ、新作が楽しみ。
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