JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

SSBジェネレータの実験 その3

前回は各種二重平衡変調ICで、低周波である音声信号と高周波である14MHzのキャリア信号を乗算することが可能で、古典的方法(伝送線路トランス)よりもICで作ったほうが簡単で上手くいくようです。しかし、この段階では二つの周波数の和と差の成分が含まれているDSB波のままなので、どちらか一方を切り取って、SSB波にする回路が必要です。きれいな音を電波に乗せるには、ここが結構難しいというか、腕の見せ所のようですね。実は、以前フィルタ部分をいい加減に作ってしまっために、断念してしまった部分でもあります。しかし失敗と実験を繰り返せば、いつかは上手く行くはずなので、じっくりと攻めて行きたいと思います(汗)。

キャリアが14MHz、VFOが36MHzなので、DSBからUSBを取り出せば、混合後にUSBになります。キャリアとVFOの周波数の高低の関係が逆になるとUSBが混合後にLSBに反転してしまうので注意が必要です。さて、DSBからUSBを取り出すには、バンドパスフィルタかハイパスフィルタに通せばよいことになります。フィルタの立ち上がりの周波数付近にキャリアポイント置けばLSBが削り取られるということです。

フィルタは水晶発振子とコンデンサを組み合わせて作る、クリスタルラダーフィルタです。以前、いい加減に作ったバンドパスフィルタの周波数特性を下の図に示します(青い実線)。帯域が6kHzと広い上にリプルも大きいです。やはり周波数の選別作業をやる必要がありそうです。コルピッツ型無調整(バッファ付)回路で実測してみました。去年の関ハムで買ってきたNDKの水晶(10ヶで確か300円)は、結構バラツキが大きく、一方、Mouserから買ったABRACONの水晶(@27円)の方が若干バラツキが少ないようです(一番下の画像)。ただし、両者で発振周波数がかなり異なりましたが、おそらく容量が異なるためだと思います。

±20Hz以内のバラツキにおさまる5つの水晶を選別したBPFの周波数特性が下の図のピンクの実線で、リプルも少なく3kHz以内におさまっています。受信用のBPFに使えそうです。しかし、立ち上がり周波数はほとんど変わりませんでした(たまたま偶然?)。この図から14.313MHz付近にキャリアポイントを設定すればUSBが取り出せるのですが、水晶の銘板周波数が14.3181MHzなので5kHzも低い周波数で発振させることはほとんど無理(大きいLを直列したり、電圧を落とすとかやってみたが無理でした)。というわけで、BPFではなくHPFを使うことにしました。まったく同じ水晶で作ったHPFの特性が下の図緑の実線です(あぁ、トラジェネが欲しい)。

15pFと30pFで作ってみましたが、リプルは多いものの、立ち上がり周波数が14.315MHzあたりなのでなんとかなりそうです。リプルが多いのは何が原因なのでしょうか。インピーダンスマッチ?水晶のバラツキが原因だとしたら、もっと大量に水晶を買い込んで選別基準を厳選しなければなりません(汗)。