JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

SSBジェネレーター 完成版

Twitterをはじめてから本ブログの更新頻度が大変低くなっておりますが、今後ともよろしくお付き合いください。知らないうちに、9万ページビュー突破。ありがとうございます。


さて、SSBジェネレータの実験を数々の方式で実験してきました。設計のポイントとして(1)ミキサのキャリア抑圧度、(2)キャリアポイントとUSBフィルタの周波数関係、(3)キャリア発振器の安定度やC/N比、(4)各ポートの入力レベル、等々あると思います。過去のOM諸氏や市販の無線機の回路を参考にしつつ、改めて設計しなおしました。

ミキサは-40dB以下の抑圧度が簡単に得られるMC1496を採用しています。周辺部品が多く組み上げるのに億劫ですが入手性がよく安価な石ですし、変換ゲインが大きく使いやすい素子です。
キャリアは無調整VXOで生成した後、2SK241同調負荷を付けてミキサに入力しました。キャリア周波数はアナログテレビのサンプリング周波数の14.318MHzです。単にこの周波数の水晶を大量に在庫しているという理由です。
マイクアンプにはエレクトリックコンデンサマイクの信号を利得20dBで増幅し普通のオペアンプを使いました。さらに、チューニング時のトーン用信号の発生にオペアンプによるウィーンブリッジ回路を取り付けました。これがあると調整時と運用時に便利そうです。基板の左上にある赤色LEDは振幅制限用のダイオードになっています(動作すると暗く光る)。
クリスタルフィルタをBPF方式にするかHPF方式にするか最後まで迷いましたが、4素子のHPFにしました。HPFにしてもそこそこの音質で変調をかけられるし、キャリアポイントの調整が上手く行けばきれいなUSBにすることが可能になりました。キャリアポントの調整はスペアナで確認した上にラジオやCD音楽の信号を入力し、USBが聞ける受信機で復調音を確認してやるとFBでした。HPF方式では広域がダダ漏れで高次スプリアス等が心配なのですが、これは運用しながら様子見です。一方、BPF方式にした場合はキャリアポイントを適切に調整するのが難しいようです(もちろんサブキャリア用の水晶があればよいのですが)。ちなみに、HPFの場合は素子数を大きくしても特性があまり変化しませんでした。2素子では低周波数側の抑圧レベルが足りないのですが、4素子以上で約-80dBになりました。これ以上の素子では変化なし。スカート特性が悪くリプルも大きいですが、工夫してもあまり改善しませんでした。今後の課題です。

各ブロックをダイレクトに結線するとレベルが大きいようで、ミキサから激しいスプリアスが発生。キャリアレベルが強すぎるようで、3〜6dBのパッドを入れて調整してあります。ミキサの後にJ310の同調負荷で軽く増幅し3dBのパッド入れてからクリアスタルフィルタに信号を入れると上手くいきました。

基板の写真。中央のリレーはトーン信号の切替用。何度も修正した部分があり銅箔がはがれてしまった(見えませんが)。

オシロ波形。若干濁って見えるのはオシロがボロだからです(苦笑)。

スペアナ。トーン信号1kHz。キャリア抑圧度は-30〜-45dBくらい。