JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

周波数変換の実験

先日、ローカルと電子工作のラグチューをしていると、クリスタルコンバーターが話題になりました。昔のアマチュア局は短波のトランシーバーを親機にして、50MHzや144MHzの波はクリコンを使って短波帯へ変換して受信していた、という話題だったのです。現在では、受信機の帯域は非常に広く、つまりゼネラルカバレージになっているので、わざわざクリコンを使っている局はいないと思われます。しかし、周波数変換の技術というは、ありとあらゆるところに使われていますね。4級アマチュア無線の国家試験にも必ず出題され、高周波技術の基礎の基礎と言えましょう。任意の周波数AとBの信号を混合するとA+BとA−Bの周波数が出てくる。これは電気信号に限らず、音や光でも同様で、数学の三角関数から簡単に導けます。
周波数変換の回路は、スーパーのラジオのミキサ部に見られるようにトランジスタのエミッタで混合する方法、デュアルゲートFETを使う方法、伝送線路トランスとクワッドダイオードのダブルバランスドミキサ(DBM)を使う方法などがあります。DBMは伝送線路トランスの応用例として良く教科書に出てくる方法で、広帯域・低雑音と言われていますが、クワッドダイオードが入手しにくいので、ディスクリートで組むのは難しいかも知れません。しかし、しっかりと組み上げるとなかなかカッコイイのではないでしょうか。

というわけで、クリスタルではないですが、周波数変換の実験をしてみました。
目標は、FM放送帯(なかでも当局が良く聴く東京FM 80.0MHz)を50MHz帯へ変換するもので、IC-7400でFM放送を聴いてみたいからです(笑)。今回は、お手軽実験と言うことで、RFミキサICを活用してみました。
東芝のTA7358という有名なFMフロントエンドのICがあります。なぜかこのICは60円くらいで入手でき、RF系ICではどこでも最安値です。機能は高周波増幅、ミキサおよび局発で、タンクコイルを外付けすれば、中間周波を作ることができるというものです。今回の目的にはぴったりで、局発を30MHzくらいにすれば50MHz帯へ変換することが可能です。80MHzと50MHzのFCZコイルが手持ちにありました。28MHzは持っていませんでしたが、14MHzのコイルがあったので、容量を1/4にして28〜30MHzへマッチさせました。

実装回路はこの通り、コイル3ヶ、コンデンサ8ヶとごくシンプルです。狭帯域のRF増幅もやっているので基板むき出しの状態では、ちょっと発振しやすいですが、後段にフィルタなしでも実用に問題ありません。

VX-7の50MHz帯でFM東京をワッチ。実は全く無意味です(VX-7はFM放送帯を受信できるから)が、結構な感度で聞こえてきます。VX-7の受信周波数を変えるよりも、コンバーターの局発コイルをいじって同調させるとFBでした(笑)。