JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

そろそろ受信回路の実験 その1

受信回路の実験をやっておりまして、とりあえずIF段のAGCアンプを調査していました。すると旧モトローラのMC1350というICが有名とのことで、いくつか入手して動作させたところ結構使いやすいです。単なるIFアンプならばFMラジオ用のICのIFアンプ部を使ってみても良いのですが(こちらの方が入手性がよい)、MC1350は外付け部品が少なく、AGC端子が出ているのが偉い。
と、いろいろ実験をしているうちに、いままで検討してきた回路を組み合わせて、ふと中波AMラジオをでっち上げてみようと思いました。一般のヘテロダイン受信機は、BPF→高周波増幅→混合→フィルタ→中間周波増幅→検波→低周波増幅という構成になり、LA1600などのICではこれらのブロックがすべてワンチップに入っているわけです。しかし、ワンチップICだとブラックボックスなので中身がわからない。かといって、ディスクリートで作る昔の6石スーパーとなると回路が決まってしまっていて面白くないので、これらのブロック一つ一つ、これまで実験で使ってきた回路を組み合わせて作ってみたわけです。従って、非常に贅沢で無駄な回路構成ですね(苦笑)。

ちなみに中波放送はNHK第一くらいしか聴かないので、NHK第一594kHzだけ受信できれば良いという、目的なき合目的性実用性に乏しいものを作りました(爆笑)。今回の目的がそれぞれの信号のスペクトルとレベルを確認したいことにあるので、これでよいのです
局発は時計用の水晶発振子4.194304MHz(2の22乗で割ると1Hzになる)がパーツボックスに転がっていたので、これを採用。バリナリカウンタで4分周すれば1049kHzとなり、NHK第一の周波数である594kHzを引けば455kHzとなるという、なんたる偶然。ロジックから出てくる信号は矩形波でスプリアスが強大なのですが、IFに落ち込まなければ無害なのでLPFなどをかまさずにそのままバラモジに入れてしまっています。
IF段のBPFは普通のラジオ用のセラミックフィルタを使っています。IFアンプには先のMC1350Pで、今回はAGCを入れていませんが、安定化電源につないで電圧を加えています。検波はショットキバリアダイオードによる二乗検波です。
ゲイン配分は、RF Ampで+15dB、DBMで+5dB、IF Ampで+80dBとなっています。おそらく十分すぎるゲインだと思います。AGCアンプにはNJM2204などのIFの周波数で動くログアンプを使う予定です(今回は実装していません)。
とりあえずバラックで作りましたが、一発で動作OK。ただし局発の信号レベルはロジックからの出力Vpp=5Vと強大で、かなり絞らないとスプリアスの嵐になりました。また、IFアンプのゲインもかなり抑えないと(AGC端子に約6V印加)これまだ歪がひどいです。AFアンプのTA7325も若干飽和気味。NHK第一を聞いているわけですから放送を聴いているだけ感度のチェックなどできませんが、SSGとスペアナで調べると-100dBmくらいの信号も捉えていそうです。ちなみに各信号レベルを調整すれば、S/N十分、ビートやノイズまったくなし。復調音質もFB、気に入りました。ケースに入れて実用にしたいと思います(笑)。

上の基板はメイン回路。BPF→RFアンプ→混合→BPF→IFアンプ→検波→AFアンプという回路が乗っています。PAだけは別基板。
下の基板は局発部。下の左半分は455kHzのローカル。別用途(SSBのプロダクト検波用)に組んだ回路で今回は使っていません。下の基板、右半分が今回の局発で、4.194304MHzの水晶をTrで発振させて、74HC161で4分周して局発にしています(なんたる強引)。