JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

NE612のAGC動作(その2)

前回ではギルバートセルICのNE612のAGC動作を確認しましたが、変換利得が不足していたので回路を見なおしてみました。低歪みで変換利得を稼ぐポイントは、入出力を同調回路にすることと、適切なLOレベルにすることです。

上の回路図のようにLO周波数3.58MHzの発振回路を外付けにしてNE612の6ピンにカップリングコンデンサを介して入力してみたところ、データシート通り最大14dBが得られました。7.5MHz入力を-40dBmとしたときの3.92MHzの出力をプロットすると、

となり、LOのレベルが-22dBmで最大利得(14dB)になります。これ以上レベルを大きくしてもひずみが増えるだけでした。またLOレベルを-26dBmに減らすと利得が落ちます。NE612の変換利得を十分に稼ぎたいときにはLOレベルを適切に保つのが非常に重要です。また図からわかるように、-30dBm以上の入力に対して出力の直線性が悪くひずみが増えるだけです。

ゲイン14dBが得られた条件で前回と同様のAGC回路を実現すると、-26dBm→-83dBmと出力を変化しダイナミックレンジが広がりました。トランジスタの特性上0.6Vの付近は直線性が悪いのですが、この辺は実際に受信回路を組み上げないと良し悪しが分かりません(無信号時にウルサイ受信機になりそう?)。実験基板はこんな感じです。

次は、ギルバートセルの部分がほとんど同じ構造のNJM2594でも同様なAGCが可能かどうか実験してみたいと思います。