JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

ダイレクトシンセサイザ(DDS)の製作

高周波の可変発振器(VFO)として、古くはLC発振器と水晶発振器がありますが、周波数安定度と周波数可変範囲にはトレードオフの関係にあります。PLL発振器、つまり、バリキャップによる共振回路により電圧制御可能な発振器と位相比較/フィードバックループの仕組みを使って、安定度と可変範囲の両立が可能になりました。以前、50MHz前後のPLL発振器を作って実験しましたが、VCOの設計が肝心で、カットアンドトライで回路定数を決めることが多々あるようです。
近年の超高速デジタル・D/A変換素子でコンピュータ制御により直接、正弦波を生成するというDDS方式が現在の無線機やSSGでは主流のようです。コンパクトで高性能です。

当局にはいくつか標準信号発生器(SSG)を所有しております。オーディオ帯〜30MHzはNF回路設計ブロックの関数発生器を持っております。中身がDDSということもあり、任意の波形を作ることができ、各種変調波、バースト発振、外部トリガ制御などもでき、なかなかの優れものです。このようなSSGは自作派オーディオには必須のアイテムと言えましょうか。しかし、20MHzあたりから波形が歪んでしまいます。
RF帯のSSGは、リーダー電子の225というのもありますが、20〜950MHzまで発振できるものの、最小周波数桁数が10kHz、出力が0dBm@50Ωとやや使いにくい点があります。なんせ巨大な機械で、ラックの一段丸ごと占有しているのが最も気にくわないところであります。
というわけで、中間周波数でよく使われる数M〜数十MHzできちんと信号が取り出せる実験用のVFOが欲しくなりましたので、DDSのVFOを作ることにしました。と言っても今回はキットです。

マチュア向けのDDSキットとして、貴田電子さんウェーブ電子さんのキットが有名らしいです。マスタクロックが180MHzの高性能版ならばどちらもAD9851というチップを採用しているので、性能面では同じだと思います。今回はトランシーバーに組み込むのではなく、実験用のSSGとして使いたいので、大型7セグLEDがカッコイイ、ロータリーエンコーダーも付属しているウェーブ電子さんのキットを買ってみました。注文して3日で届きました。

上の写真の一番右の小さい基板は自作の2SC1907の広帯域アンプでちょっとだけ振幅が欲しいときに使いました。10〜50MHzで約10dBの電力利得があります。さて、本キットの性能ですが、当局はスペアナは持っていないので、とりあえず波形をオシロ(一応400MHzまで見える)で確認すると、LPF通過後の10MHzの波形で、デジタルサンプリングと思われるギザギザが波形に乗っています。周波数の安定度は電源ON 30分後ではかなり良好で、当局所持の2台のカウンタで測定してもほとんどブレません。両者で読みにズレがあるのが気になりますが、買ってきて校正していないので、どちらがより正しいかは不明です(苦笑)。なお、仕様通り1Hz〜50MHzできれいな正弦波が出てきました。


使い勝手を含めてかなりFBです。矩形波も出力されているので、逓倍波も簡単に使えますし、もともとトランシーバーに組み込まれるのを前提に設計されているので、ヘテロダインのオフセットの設定やVFOのプリセット機能なども豊富です。ただし、7セグLEDが常時130mAも食うので、3端子レギュが結構熱くなるのが気になりました。
きちんとしたケースに組み込んで、実験用VFOとして使っていきたいと思います。もう一台欲しくなりました(汗)。