JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

Class-XDアンプの試作

おそらく日本でXDアンプの自作記事をネットで紹介している人はいなさそうです。せっかくなのでご紹介します。XD(crossover displacement, 正確にはClass-XD(TM))級とは、B級アンプで問題になる電圧ゼロ付近で生じるクロスオーバー領域の電圧レベルをちょっとだけずらしてあげることで、A級並の低歪み率を実現しつつ、効率も良いという、最近のアンプのテクノロジーです。イギリスのCambride Audioが開発したAzurシリーズに実装されています。
アンプ本体はごく普通のアンプで、入力段にはカレントミラー負荷差動アンプ、電圧増幅段には定電流負荷、ドライバと出力段はコンプリエミッタフォロワです。その後のステージに、定電流crossover displacerを負電源レールを使って実装しているだけです。ディスクリートで作ったので、1chあたり18石使いましたが、回路的には全くシンプルです。従って、低コストで実装可能です。
全高調波歪の特性は、1W以下の小出力時にはA級アンプ並に高性能、30Wになると少し歪みが増えるが、AB級よりも少しだけレベルが高くなるだけで、かなり低歪みのアンプになるようです。
今回はMouserで大量に購入した汎用トランジスタを使って組んでみました。小信号トランジスタにはMPSA06/MPSA56を、中信号にはMJE340/MJE350、出力段にはTIP3055/TIP2955を採用したので(どれも安い石です)、半導体のコストがトータルでたった400円です。これでも結構いい音を出すんです。


※ミューティング回路と温度補償と出力段の石は別基板なので写真には載せていません。