JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

HF〜VHF広帯域パワーアンプ

最近HFハイバンドの調子がよくなってきました。21MHz帯はいつも混み合っている7MHzと違い、少し落ち着いた感じでQSOが楽しめます。しかし、伝搬状態の変化が激しいのが難です。
前回のPLLシンセサイザーがすこぶるうまく行ったので、調子に乗ってこのPLLの後段にあたるパワーアンプを作ってみました。CWで運用するならばPLL→ドライバ→パワーアンプ→LPF→アンテナという構成で送信機が完成します。まずはパワーアンプのみを作ってみます。
オーディオ用のパワーアンプをさんざん作っているせいか、高周波のパワーアンプもシングルでは面白くないので、プッシュプルの構成にしました。ゲートバイアス電圧を制御して、動作点をリニアB級から電信/FM用のC級に切り替えができるようにしました。またHF〜VHFまでの広帯域にしたいので、同調タンク式ではなく、伝送線路トランスを使ったタイプにしました。コイルを巻く作業から工作がスタートです。

石はスイッチング電源に使われているパワーMOS FETにしました。バイポーラートランジスタに比べると入力マッチング回路が簡単になります。そのかわわりに、スワンピング抵抗(ゲートとアース間に入れる抵抗)を低抵抗にすると(本機では27Ω)電力利得が下がりますが、広帯域にわたって入力インピーダンスが下げられるので、発振しにくい回路になります。トロイダルコア類は最大出力50Wを見込んで大きめに作ってみました。プッシュプルの合成トランスも自作コイルです。低周波の世界では出力トランスは自作はほとんど不可能で、非常に高価な部品ですが、高周波の世界では安価で簡単に自作できます。



試作回路なので、とりあえずユニバーサル基板で組み立てています。基板左上の部分(銅板シールド板を設けているところ)にドライバ段を実装する予定です。本来ならば放熱計算をして放熱器を選択するところですが、面倒なので手持ちの放熱器を基板の上に取り付けました(一応増幅入出力間のシールドになる)。電源電圧を36V、バイアス電圧2〜5Vにして動作試験しました。
石はインターナショナルレクティファイアのIRF510とIRF640Nを試してみますが、まずはIRF510で動作。21MHzくらいまでは10dBくらいの利得。60MHzまでなんとか増幅していますが、SWRがかなり大きくなってしまいます。周波数によってはバイアス電圧を上げないと動かないことがありました。

このように位相がずいぶん回転してしまう周波数が見られます。

C級動作(アイドリング電流0mA)ではずいぶんと歪みが多いですが、

アイドリング電流を600mAくらいまで流すとA級動作に近くなり歪みが小さくなります。しかし、発熱が激しいので、この大きい放熱器が触れないくらい熱くなりました(汗)。普段は100〜200mAくらいに抑えます。発生した高調波歪みを次段のLPFで取り除けば立派な送信機の出来上がりです。

次回は高周波性能の優れているIRF640Nで再度実験してみます。正確な動作測定はドライバ段を実装してから行いたいと思います。
(実験中、ダミーから汚い電波をまき散らしてしまったようです・・・・ごめんなさい)