JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

三菱RFパワーFET RD06HVF1で実験

予告通り、三菱RFパワーFET RD06HVF1でパワーアンプを試作してみました。本半導体データシートにあるように、QRP向けのVHF帯パワーアンプ用シリコン型MOSFETです。Po=6W, Gp=13dB, f=175MHz, Vdd=12.5V、ドレイン効率60%というスペックです。50MHzで使うともう少しゲインが高くなるはずなので、QRPの終段にはベストチョイスかと思います。
よく言われるようMOS型電界効果トランジスタ(MOS FET)はバイポーラジャンクショントランジスタ(BJT)とは全く異なる原理で動作しています。FETは電圧制御素子で直流インピーダンスがほぼ無限大、オン抵抗が低い、熱暴走しにくい、耐圧が高く壊れにくい等々のメリットが多く、電子機器の省エネ化に大いに貢献しています。高周波デバイスでは、低オン抵抗をちょっと犠牲にして入力容量を小さくして、高速に動くようにしているようです。シリコンMOSFETはGaAsなどの化合物デバイスとと違って非常に安価です。
余談ですが、数年前、プラスチックのような有機高分子材料でFETを作るという研究をやっていました。インクジェットプリンタで有機半導体のパターンを印刷してICを作っていくというもの目指しましたが、シリコンのFETと比べるとショボイ移動度のものしか作れず、実用化がほど遠いと判断し断念。高周波動作なんて夢のまた夢でした。最近はチェックしていませんが、有機半導体は進歩したのでしょうか。


まずは、シングルでパワーアンプを試作しました。回路はCQ誌別冊NO.4の回路を参考、ほとんど同じです。規模に合わない巨大な放熱器を付けていますが、一クラス上のRD15HVF1でもテストしたいためです。基板にSMAコネクタを直付けしましたが、フランジがステンレス製で、はんだ付け不可能でした(苦笑)。後で金めっき製に取り替える予定。
シングル回路でリニア動作させるためには動作点をA級動作にしなければならないので、ドレインのアイドリング電流を約300mAくらい流すようにゲート電圧を調整します。
SGの出力0dBm(1mW@50Ω)を入力につないで、動作させると約10dBm出てきました。FT-817をSG替わりにして50mWを入れるとやはり約0.5Wでてきました。当然ですが周波数をHF帯にするとゲインが大きくなりました。精密なパワーメータを入手したらSWRを合わせ込んだ上で詳しくデータを取りたいです。


次に、プッシュプルの回路ですが、上記シングル回路を上下対称にするだけです。ただし、入出力にバラン入れて、つまり入力側には上下で位相反転させて、出力は上下を電力合成して不平衡にする必要があります。
こちらは作り方が悪かったせいか、100〜200MHzで激しく自己発振してしまいうまく動きませんでした。高い周波数でハイゲインであるという証拠なんですが、基板に角穴を開けて、放熱板を基板の下に敷いて、最短距離で配線する必要がありそうです。更にシールドケースに入れて、ドレインに小容量コンデンサをつけて高周波をカットするという手を使いたいと思います。次回までに作り直したいと思います。