JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

RD06HVF1プッシュプル広帯域電力増幅器

前回の続きです。ユニバーサル基板でRD06HVF1のプッシュプルアンプを作ってみたものの、ひどい自己発振と不安定動作に悩まされました。しかし、シングルアンプだけでは物足りないので、プッシュプルも成功させたい。ドレイン側にチョークを入れたりすれば直りそうですが、・・・この際だから、銅張板をエッチングした基板で作り直してみました。

回路はトロ活の100WのFET PPリニアアンプを参考にしています。三菱RD06HVF1は普通のスイッチングMOS FETよりも入力容量がずっと小さいのでスワンピング抵抗をなくしました。手持ちのパーツの都合でカップリングコンには0.01uF/500Vをパラにしています。出力側のコアもトロ活とは違うものを使っています。一クラス大きいRD15HVF1でも実験したいので、QRPにしてはコアサイズや放熱器を大きめにしております。

急ごしらえの割には格好良くできました。狙い通り入力インピーダンスは50Ωに整合しました。無信号時のドレイン電流を約100〜200mAになるようにバイアスを設定して、FT-817をSG替わりにして50MHz 0.05Wを入れると、パワーゲイン約12dBになりました。ドレイン効率は約50%とまずまずです。入力を増やしていっても、出力が8Wあたりで飽和しました。出力のSWRが少し悪いようで(パワーが小さくて正確なSWRが測れなかった)、微調整すれば(おそらくコアインダクタンス)もう少しスペックが改善されると思います。アイドリング電流を少し減らす、または増やしても波形の乱れがほとんどなく、スプリアスも小さそうです。
今回は前回のような自己発振は全くなく、基板に手を近づけたりしても、異常動作しませんでした。

おそらくバイポーラトランジスタでRFパワーアンプを組んだ方と同じ意見になりますが、このFETは使いやすいです。バイアス電圧の調整中に間違ってドレイン電流を3Aくらい流してしまったのですが、壊れることがありません。フランジがソースになっているのも工作の点で使いやすく、本試験回路のようにプッシュプルの場合、2本とも放熱器に絶縁板を入れる必要がありません。
入手性○、価格◎、使いやすさ○です。HF帯のパワーアンプならば、IRF510やIRF610などの安いスイッチングトランジスタが使えますが、VHF帯ならばこの石がFBだと思います。ちなみに、144MHzになると本回路ではダメで帯域を伸ばすためにはトランスコアの見直しが必要になります。

手持ちの測定器の関係上、詳細なデータが取れていませんが、機会があればスプリアス、IM歪み、周波数特性や効率特性などのデータを測定していきたいです。