JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

半導体式AMラジオの製作

当局の知り合いの息子さんが、今時珍しく電子工作に興味があるということで、息子さんへ何か工作物のプレゼントを考えていました。まさか高電圧で危険かつ重量物の真空管アンプをあげるわけにもいかず、かと言って、役に立ちそうにないPICやAVRの評価ボードなんて意味がないし、ハムの免許を所持していないと思われるので、エレキーやVFO、リニアなんか喜ばれるはずがない。というわけで、古典的にも手作りのAMラジオをお土産にしました。せっかくなので、超お手軽IC版とディスクリートタイプの2種を作ってみました。

まずIC版です。有名なAM用チューナーICである三洋LA1600で発振/中間周波増幅/検波段を作り、低周波増幅/電力増幅はお約束の東芝TA7368という構成です。LA1600は初めて使ってみましたが、よくできたICでとくに不満はありません。バリコンは、前回書いたジャンク基板から引っこ抜いてきたものです。計ってみると40〜260pFくらいの容量なのでそれに合わせたバーアンテナを組み合わせました。セラミックフィルタは手持ちの関係でムラタ製の15kHzの帯域のものを使いました。聞きやすい音質になりました。
早速スピーカーに接続して聞いてみました。感度/選択度/安定度共に申し分ありませんが、如何せん終段がTA7368なのでVRをめいっぱい回すと音が割れてしまいます。バラックの状態で昼のNHK第一をしばらく聞いていました。
あと、アンテナコイルの容量が大きいため、受信範囲が300kHzから聞くことができ、全国各地の航空無線標識局の信号を受信できました(笑)。
他に手持ちのチューナーICに、TA8164, TA7649, TA7792, μPC1215などがあるので性能を比べてみても面白いかも知れません。

次にトランジスタ版ですが、ごく普通の中1高2の回路です。基板を2つに分け、下の写真の左がチューナー基板、右が低周波基板です。高周波の石は全て2N2222を使いました。2N2222はVcbo=60V, Ic=0.6A, Pc=0.625W, hFE=100-300, fT=300MHz, Cob=8pFと力持ちで立派な高周波用トランジスタです。これをパラにして高周波パワーアンプが作れそうです。低周波増幅段はオペアンプとパワートランジスタでSEPPを組んでいます。上のIC版よりも全体的に性能が若干低く、AGCの掛かり方が少し違和感がありました(回路定数を改めると直ると思う)。性能を求めるならば、専用ICの方がよいと思います。アンテナコイルとバリコンは上のIC版のものを使い回します。

ケースに組み込んで、電池と小型スピーカーを内蔵させる予定です。