JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

真空管 vs. トランジスタアンプ

当局は電子工作、とくにオーディオアンプ(音声増幅器)を自作することを趣味としています。最近では、とうの昔に廃れた過去のデバイスである真空管をわざわざ使って、アンプをこしらえるという、のが流行しています。実は当局がクラフトオーディオの道にハマったのは真空管アンプからです。それまで真空管は未知の世界でした。使ってみると案外いじりやすいデバイスであり(デプレション動作モードかつ高電圧であるのが玉に瑕)、下図のように過去にたくさん作りました。QSLカードのデザインにしたことがあるので、お見せします。


出力管は、定番のEL34, 2A3, 6550, 6L6, 6V6などです。300Bはまだ作ったことがありません。6146や2E26、815などの送信管で音を鳴らしたこともあります。真空管回路はどちらかというと作ること自体が楽しいのです。出来上がったアンプもどっしりと重量感・存在感があり、ほの暗いフィラメントの灯りも雰囲気が出てFBです。しかし、いくつものアンプを作って音を出してみても、音質に満足できません。音質を求めると、つまり物理的な電気特性を求めると半導体には絶対にかなわないと思います。一度、DCアンプの音を聞くと、もう真空管(少なくとも出力トランス付きの)アンプには戻りにくい。一個40円くらいのオペアンプに400円のコンプリペアTrをくっつければ真空管に勝てるアンプが出来てしまう。電源はSW電源でOKですし。


ディスクリートのDC半導体アンプの回路は、初段差動2段+コンプリエミッタフォロー、もしくは、初段対称コンプリ+コンプリエミッタフォローのどちらかになりがちで、あまり面白くありません。しかし、高速電流帰還型というのもあり、終段バイアス電圧が不安定っぽいですが(アイドリング電流を100mA以上にしないと温度補償が動作しない)、結構いい音がします。終段を(安価な)IRF640Nの準コンプリにしたものを試作中です。このように、半導体アンプは高性能ですし、気軽に回路が組めて、気軽に動作テストができるのが良いです。

真空管半導体を比較すること自体がおかしいのですが、以下、意見が分かれるところだと思います・・・

  • 真空管アンプの良いところ
    • 骨董的なところ。わざわざ昔の部品を集めて組んだりする趣味性が高い。
    • はんだ付けする部品のサイズが大きいので、目の悪い方でも大丈夫。
    • 熱・電気的ダメージに強い。放熱器要らず。
    • 重量感・存在感がある。
    • フィラメントの灯りで独特の味が出せる。
    • 大量の負帰還に頼らない(頼れない)ので、デバイスそのものの音を楽しめる。
  • 半導体アンプの良いところ
    • 物理的電気特性がよい。一般にOTLなので、DC化が容易。
    • 低電圧で大出力。小型。高効率。
    • 安価。部品も現行品を使えば入手が容易。
    • 最新の回路が簡単に試せる(例えばD級やD/A変換、USBオーディオなど)。
    • 定電流・定電圧回路が容易に組める。
    • 品種が豊富。