JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

可変圧縮プリアンプIC SSM2165

前回ご紹介したBA333などのテープレコーダー用ALCアンプICを使ったコンプレッサーマイクアンプの製作例では、外付けのアンプ+検波回路を実装することで圧縮開始レベルを制御することができました。しかし、使い勝手があまり良くありません。もう少し自由度が欲しいと思っていたところ、格好のICを見つけました。アナログデバイセスのSSM2165です。汎用の圧縮アンプで電話、カラオケ、パソコンのサウンドカードなどに使われているようです。コンパンダICのSA571よりも使いやすく、TA2011Sよりは設計が現代的で電源電圧が5V、出力インピーダンスが75Ωとパワーアンプ並みだったりします。とにかく、マイクアンプに使うには十分な性能ですが、電圧ゲインが足りないので前段にプリアンプが必要です。

写真では中央部がSSM2165の圧縮アンプ部で外付け部品がかなり少なく、圧縮比を抵抗一本で調整できます。
前段にはTL081によるプリアンプ、AF増幅にも使う予定でいたので、後段にLM380によるパワーアンプも付けました。

入出力特性を見ると、今まで作ってきたALCアンプとはかなり違った特性です。TA2011Sなどでは、入力電圧がある閾値になると出力レベルが固定されるという機能で、要するに増幅度が静的に0になるわけですが、本ICでは、入力0.1Vまでの範囲でIn/Outの傾きがある値に制御されます(この傾きのことを圧縮比と定義されています)。本回路では圧縮比を1:15から1:1まで半固定抵抗で変化させることができます。おそらく、出力レベルが固定されるよりも、圧縮比が有限の値にある方が自然な音に聞こえるのだと思われます。


こういった有用なデバイスを発掘するのも、アマチュア電子工作の楽しみの一つです。


※なお、SSM2165は入手しにくいICです。