JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

135kHzトランスバーター(その1)

技術ネタがないと怒られそうなので(汗)、最近取り組んでいるモノをネタにしてみます。試作して半年以上放置している135kHzのトランスバーターの製作についてです。

2200mの製作と運用でアクティブでいらっしゃるJH1GVYさんの回路を参考に、親機10MHz、135kHzのトランスバーターを製作しています。試作段階でTSS保証認定を得て135kHzバンドの免許をおろしているのですが、完成させていないのでは永遠に交信できないわけで、ちゃんと作ってみようとしています。

回路図は後日アップしますが、まず送信部:(1)FT-817の0.5Wの10MHzの信号を10.000MHz局発とDBMで混合し135kHzの信号を得、(2)BS170のRFC負荷でプリドライブ、(3)TC4428というMOS-FETドライバへ、(4)IRF540のプッシュプルC級アンプで電力増幅。という構成です。DBMでは局発の10MHzと10.270MHz台の信号も出力しますが、次段のBS170プリドライバのドレインにスナバ回路を取り付けることで135kHz以外の信号を低減させました。BS170のゲート部にDCバイアスを入れて増幅度と後段のTC4428に出力される正相/逆相のデューティ比を50%になるように、DCバイアスを調整します。そうしないと終段の効率が悪くなるほかスプリアスが強烈になります。TC4428の出力にもスナバ回路を取り付けると、ここには10MHz台の信号はほとんど見えなくなります。MOS-FETのゲート電圧つまりRFパワーの制御にはTC4428のVddで制御しています。終段のMOS-FETにはCissが1000pF程度の石が使えます。今回は安価で扱いやすいTO-220タイプのIRF540を使いました。120円くらいで入手できます。FETのゲートには直流バイアスを掛けていません。つまり完全なC級矩形波ドライブのスイッチング回路になっているのが特徴で非常に効率が良い回路となっています(135kHzはCWのみなのでノンリニアアンプでOK)。とは言え石自体の損失がありますので、放熱の措置は必要です。LPFはπ型で数A流せるパワーインダクタ(フェライトコア)とプロピレンコンデンサを使いました。
受信部は局発とDBMを通しただけの単純なもので、FT-817のACC端子からスタンバイ信号を拾って送信/受信回路をリレーで切り替えるようにしています。


試作回路なので余計な回路が載っていますが、上がミキサ・プリドライバ部、下がドライバとPA部です。PA部の放熱器やコアが小さいので15Wクラスで考えています(免許は最大50Wで下ろしています)。

次の画像はドライバの出力で矩形信号が正相/逆相の信号になっていることがわかります。0VからこのICのVddまでスイングします。これらの信号をN-ch MOS-FETのプッシュプルに入れるというわけです。

これは上段がLPF後の信号で、下段がドライブ信号。ここでは20Wくらいの出力ですが、結構綺麗な正弦波になっています。

一応スペアナでスプリアスを見ると高調波抑圧は-50dBm以下と十分なものになっています(左から3本目のピークが135kHzの信号です)。

135kHzといえばほとんどオーディオつまりAFの領域なのでRF回路の厄介さ(容量結合による正帰還など)はあまりまりませんが、LCまわりが厄介になります。共振負荷タンクを作るにしてもLが巨大になりますし、カップリングやパスコンの容量も大きめにする必要があります。

最新のON抵抗の低いMOS FETを使うと更に効率が良くなると思われるので別の機会に実験したいと思います。また、この回路をHF帯へ応用しても面白いかもしれません。