JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

セルフリストQSOについて

主に国内向け短波において、アクティビティ向上を目的に(?)各種ローカルアワード(道の駅、湖沼、湯、ウォーターフロント、始発駅、ミドル等々)がはやっているようです。当局はそれらアワード取得を目的に交信したり、移動運用サービスすることはあまりないのですが、移動局がたくさん出られていることはとても結構なことなので、土日を中心に移動各局をよく呼ばせていただいております。
当方、弱小設備で運用していることもあり、主にCW/RTTYによる運用です。従って短波SSBのことは最近あまり知らないのですが、SSBにおける運用スタイルに問題がある、ということをよく耳にするようになりました。たまにワッチしていて、確かにそんな印象を受けます。ここで「問題がある」というのは「本来の理想とすべき運用スタイルとギャップがあるだろう」という認識です。法律的にどうこうという意味ではありません。

で、問題のある運用スタイルとは、主に、

  1. 自局IDをアナウンスしないで次々と交信
  2. サフィックス呼び
  3. MC局が(勝手に)出てきて運用を仕切る
  4. いわゆる「他待機」
  5. いわゆる「セルフリストQSO

だと思われます。

(1)については、IDが分からないので時間が無駄になって呼ぶほうが困る(特にコンテストで)、呼ばせるタイミングが狂ってしまい呼び倒しになりやすい、という側面があり、IDを度々アナウンスしないと効率が落ちるのではないか、ということを前回話題にしました。
(2)については、否定するわけではないのですが、全くパイルになっていないのにもかかわらず、いつものクセでサフィックスだけで呼んでくる局がいるのにはいささか閉口いたします。
(3)については、特にV/UHFのSSBに多いようですが、腕の良いMCならば良い思います(ですが聞いたことがない)。他人の助けを借りないと交信できないような交信は単純につまらないのではないか、という意見があり、その通りで同意いたします。
(4)については、これもV/UHFのSSBに多く、CQを出している側は仲間内で遊んでいるという連帯感からそうしていると思います(当局も誘われたことがあります)。呼ぶ側の立場に立てば、一回のコールで数局ログインすることができるので、効率がよいのですが、「他各局」がいることを認識せずに呼んでしまったら「呼んだつもりではなかった局と交信させられた」ということが本位ではない点で好ましくないと思われているようです。
ここで本題にしたいのが(5)についてです。セルフリストQSOについては今更説明しませんが、なぜ一般に効率が悪いとされるセルフリストQSOが多く行われているのか?少なからずそれをするメリットがあるはずです。まずはCQを出す側の立場からセルフリストQSOの合理性・必要性を考えてみると、

  1. 一度に呼ばれるとピックアップできない
  2. パイルアップで潰される弱い局をピックアップできる
  3. 呼ばせる局を並ばせることでQSOしやすくなる

でしょうか。しかし以上のことはすぐに反駁できると思います。つまり、

  1. リストを作るときにパイルアップの中からコールサインをピックアップする作業をしているので、結局は通常のパイルアップを捌いているのと同じで、結果的にリストを作る作業の分だけ時間の無駄(効率が悪い)
  2. 弱い局の信号はパイルアップの陰に隠れてしまいピックアップしにくいのは確かだけど、強い局とのQSOを効率的にさっさと済ませれば弱い局の順番がやってくるし、弱い局をパイルアップの中から拾い上げるテクニックもある
  3. 1.に書いたようにQSOの難度は通常のパイルアップを捌くのと同じ。

以上のようにCQを出す側にとってセルフリストQSOで運用するメリットがほとんどないといえます。ではなぜ効率の悪いセルフリストQSOなのでしょうか?確かに、パイルアップが極端に苦手なCQ局にとっては、毎回毎回ゴチャゴチャ呼ばれるよりは、リストを取ってからのほうが運用しやすいという面はあると思います。つまり初心者のためのCQスタイルと言わざるを得ません。430MHzのFMのように重なって呼ばれないことを期待しているのかもしれません(FMでは重なって呼ばれても強い局だけの信号が聞こえる)。だから中級者以上の運用者にとって、イライラして文句の一言も言いたくなるし、せっかくのパイルアップのスリルが味わえずもったいないと思ってしまうのです。

次に呼ぶ側のメリットを考えましょう。

  1. パイルアップに勝てなくても、リストで拾ってもらえればほぼQSOできるという安心感がある
  2. 呼ぶテクニックをあまり必要としない

リストを取っている最中はパイルアップが延々と続かないので(途中からワッチしている局にとってはしばらく聞いていないと様子が分からないので)、リストの一番後ろでもいいからリストに載るチャンスは少なからずあると思います。メリットはこの1点に尽きると思います。しかし呼ぶ側にとって以下のようなデメリットの方が大きいのではないでしょうか。

  1. リストに載せてもらってもQSOの順番が来るまでしっかりワッチして待たなければいけないので、時間がもったいない。
  2. 他人のQSOをずっと聞かなくてはならないので(同じ情報を何度も聞かされる)退屈で楽しくない。
  3. 交信に要する時間がかかるので、コンディションの変化によってリストに載ってもQSOできないことがある。

呼ぶほうも呼ばれるほうも効率という点では劣るし、交信できる確率を下げてでもセルフリストQSOというスタイルが好まれるのは、効率とは無関係で、のんびりといつもおなじみの仲間内から呼ばせて遊んでいるという印象があります。また予想以上のパイルアップを受けて、アタフタしているよりもリストをとって順番に呼ばせるほうが、スマートに見えるというのが実情なのかもしれません。予想以上のパイルアップは冒頭に述べた各種アワードやクラスタと無関係ではなさそうです。

そもそもシンプルQSOを好み、局数を稼ぐ(コンテスターに多い)局にとってはこのようなCQには応答したくありません。セルフリストQSOのスタイルはたくさんの局から呼ばれるチャンスを失っているに等しいです。パイルアップをさばくのはCWよりもSSBの方が楽しいです。どうかセルフリストQSOからいち早く卒業し、パイルアップの醍醐味を味わって頂きたいと思っています(汗)。