JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

オールバイポーラTr DCアンプ

アマチュア無線とは関係ない記事が続いていますが、ご容赦下さい・・・・

さて、正月から手を付けている『窪田式FET上下対称DCアンプ』ですが、電源電圧を20V以上にすると、出力段に異常電流が流れるトラブルに見舞われまして、どうやら超高域発振を起こしているようです。あちこち手当はしたものの動作が不安定で、ケースに入れれば万事収まるのかもしれませんが、回路もしくは実装に本質的な欠陥が含まれているようで、少しクールダウンが必要です。

同じくDCアンプですが、以前、バイポーラトランジスタだけで作ったDCアンプを試験的に組んでいましたが、音だししてみると割と押し出しが強めで高域の分解能もまずまずでした。このアンプのテーマは『部品コストを極限まで低下させる』でありました。もちろん、回路はHi-Fiオーディオとして妥協がないように、初段差動カレントミラー定電流負荷とダーリントン接続のコンプリエミッタフォロワーを採用しました。

アンプ1

初段とプリドライパーには海外通販から大量に入手した汎用トランジスタS8050/S8550を使いました。お値段は@2.5円です。汎用スイッチィングダイオードは1S914Aを使っています。@1.5円。ドライバー段にはIc=1A流せるTN4033/TN3019を採用。@10円。出力段にはジャンク屋さんから大量に貰ってきた古い日立の2SB568/2SD478を使っています。こんな石をいまどき使う人はいないでしょう。放熱器は2mm厚のアルミの板切れです。バイアス温度補償には2SC3421を使っています。@20くらい。抵抗類は秋月の1円抵抗を積極的に使っています。実は、この部品の中で一番高いのはサンハヤトの4mmピッチ基板です(苦笑)。合計で約300円弱となります。


アンプ2

次に、ほとんど同じ回路構成ですが、部品に少しこだわりというか一応高性能化を目指した部品を選定しております。初段にはNECのデュアルトランジスタ、μPA15Aを採用。カレントミラー、定電流回路にはローノイズハイゲインの2SA992/2SC1845のペア選別品を採用をしました。プリドライバーには2SA941/2SC2088、ドライバー段には2SA512/2SC512、出力段には2N3055/MJ2955よりも少し大きい2N5884/2N5886を使いました。抵抗は全てニッコームの板抵抗です。基板裏には0.8mmφの銀めっき銅単線で配線しています(音質云々ではなく単に工作しやすい)。アンプ1よりもローノイズでfTが高い品を使っています。こちらは合計で5,000円近い費用がかかっていますが、さて、この違い(性能と言うよりも値段に割に)が出てくるのでしょうか。

まずは周波数特性です。
測定条件は、

  • アンプ動作状態:電源電圧±20V、出力5W、8Ω(メタルクラッド抵抗)純抵抗負荷
  • 信号源:NF回路設計ブロック社 マルチファンクションジェネレーター WF1973
  • ACV測定:リーダー社 ノイズメーター LV1817 不平衡 1MΩ入力


黒線がアンプ1、赤線がアンプ2を示しています。若干ですが、アンプ2の方が高域まで伸びています。しかしほとんど変わらないと言っていいでしょう。素子の高周波特性の違い(裸特性)が出ている思います。歪み率はまだ測定していませんが、少し音を聞いてみたところ、アンプ2の方が高域の分解のが勝りますし、低域もびしっと決まる感じでした。初段がオペアンプの音とは明らかに違います・・・・