JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

ひずみ率計を作る

オーディオアンプの特性値(スペック)として、周波数特性、残留雑音、クロストーク特性の他に、増幅能力として最も重要なスペックにひずみ率特性があります。アンプのひずみ率はひずみ率計で測りますが、とても高価な機械なので我々のようなアマチュアにはなかなか手が出せません。しかし、歪み率の内部はそれほど複雑ではありません。簡単作ることができます。原理からして、ある周波数の正弦波をアンプに通して増幅させ、出てきた信号からその周波数の成分だけを取り除いた信号を取り出してあげればよいのです。このフィルターのことをノッチフィルターまたはバンドエリミネーションフィルターと言います。
高周波信号のフィルター回路は古典的にはラジオの同調回路のようなLC同調回路がありますが、オーディオ信号の歪み率を測るにはあまりにも性能が悪いので使えません。なぜなら、基本波とその2倍の周波数(第2高調波)を分離しなければなりません。このような場合は、オペアンプによるアクティブフィルターが有用です。当局では1kHzのアクティブフィルターを自作し、歪み率の測定を行っています。測定機器を自作するのはとてもエキサイティングです。

回路はツインTフィルターを採用しています。オペアンプはなんでもOKですが、LF356とNJM4558で作ったものを直列に繋げて0.001%の全高調波を測定することができています(但し校正が不完全です・・・・)。実は手持ちの部品で作り込んだので、回路定数が異なりますが、ノッチ周波数はどちらも1kHzです。基板一つあたりの周波数特性を示します。調整を丹念にやれば-50dBまで基本波を抑圧することができます。オペアンプや電源から発生する残留ノイズが原因で、これ以上高精度な測定ができないようです。