JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

VHF帯PLL発振器の製作

しばらく低周波ばかりやっていたのですが、久々に高周波ネタです。

高周波を作り出す発振器の回路には、LC共振回路と水晶振動子回路があります。前者は周波数を広く可変できるという長所がありますが、温度などの環境に対して不安定です。後者は全く逆で発振が非常に安定ですが、周波数可変範囲が狭い(分周させることのみできる)です。これらの長所を併せ持った回路がPLLです。あらゆる電子機器に組み込まれているごくありふれた技術ですが、結構奥が深そうです。
鈴木憲次氏の『高周波回路の設計・製作』を参考に、少し回路、部品類を変更して組んでみました。出力周波数30〜60MHzを狙います。心臓部のPLL ICはモトローラのMC145163を使いました。PLLに必要な機能が全て入っているので、VCOさえ外付けすればPLLになります。ロック出力ピンがあり、分周比の入力はBCD入力なので使いやすいです。サトー電気で2ヶで3,000円くらいでした。VCOはクラップ型で、コイルはT-50#6のトロイダルを巻いて作りました。バリキャップは可変範囲の広い1SV161を使うべきなのですが、手持ちになかったので似たような容量比の1SV50で様子を見ます。基準周波数は、まず10.24MHzの水晶を発振させ、1024分周して10kHzにしています。VCO回路は電源電圧の変動に弱いのでPLL IC用に9V、VCO回路用に12Vをそれぞれ3端子レギュで作っています。VCOの出力に2SK241で電圧増幅、50MHzのFCZコイルで同調して外部へ取り出します。

今回はぜいたくにも高周波用メッシュ基板を使いました(アースに落とすのが簡単で使いやすい)。BCDサムホイールスイッチはジャンク屋から入手したものですが、大型でとても使いやすいです。サムホイールスイッチで周波数をダイレクトに設定できます。

トロイダルコイルの巻数が少し多かったのか、40MHzあたりで最大振幅が得られてしまいました。また、バリキャップのせいか、周波数可変範囲が狭く51MHz以上がロックしませんでした(35MHz台にジャンプして、周波数が動かなくなる)。やはり可変範囲の大きいバリキャップが必要なのか・・・。サムホイールスイッチの表示と実測周波数に14kHzほどのズレがあり、これも原因不明。しかし、周波数はかなり安定で、10Hz台の桁は全く動きません。

出てくる信号の歪みが多少大きいようです。Eスポシーズンに向けて、50MHzのトランシーバー製作へ活用していく予定です。