JF1DIR業務日誌(はてなblog版)

アマチュア無線局JF1DIRのアクティビティをつづっています。

ノートPC用低損失レギュレータの製作

たいしたモノではないのですが、最近作ってえらく実用性が高い制作物です。
移動用PCとして使っていた、Acerネットブックが昇天してしまい、新しいPCを探していました。ロギングだけならリュックの中に入れても邪魔にならないコンパクトなPCが良いのではと、VAIO type Pを中古で手に入れました。キーボードが小さくて使いにくいけど、まぁ問題なく使えています。

ゴールデンウィークに丹沢の山へ登り、このPCを使って東京コンテストに参加しました(50MHz電信部門)。しかし内蔵バッテリー動作だと数時間しか持たないので外部電源が必要です。付属のAC100V入力のアダプタを介して供給すると、短波帯に猛烈なノイズが入ることが分かりました(50MHzでは気がつかなかった)。

どうやら中国製のスイッチングレギュレータのようです。1ターンループによるセンサーをレギュレータに近づけてスペアナで覗くと、

のように100MHzまですんごいノイズが。特に短波帯がノイズで全滅です。周波数軸を拡大すると、

と、スイッチング周波数のハーモニクスとおもわれるノイズを放射しており、どうやら不良品のようです。

このPCは移動運用先で使うことが多く、AC100V入力のレギュレータではなく鉛バッテリーの12Vから直接PC電源としたほうが効率がいいはず。しかしPCの電源電圧が10.5Vなので電圧を落とす必要があります。ノイズの観点からスイッチングではなくドロッパ型のレギュレータを自作してしまうことを考えました。しかし、この入出力電圧差1.5Vというのは通常の3端子レギュレータでは安定化することができない電位差です。またPC駆動時で最大1.4A消費するので、ロードロップ(低損失)で高電流の可変レギュレータが必要になります。

低損失レギュレータでラインナップが多いリニアテクノロジーLT1083を使ってみることにしました。TO-3パッケージで7.5Aまで扱うことのできるもので、秋葉原の千石通商で入手可能です(ちなみに千石はリニアレギュレータの宝庫です)。回路は至って簡単で、抵抗2本で電圧を調整するだけです。放熱板を取り付けた小さいケースに入れて、空中配線で済ませました。


入力電圧11.5Vまで下げても出力10.5Vを安定して供給することができました。これで移動先でのPCロギングが完璧になりました。スイッチングレギュレータからのノイズが気になる方はぜひおすすめです。